好きな言葉

 ずっと忘れ去っていた座右の銘が、MLB3,000本安打を達成したイチローの喜びのインタビューを聞きながらよみがえった。彼をここまでにした「得意淡然失意泰然」の言葉だ。

 調子が良い時も悪い時も変わらない自分を築き上げようとする意志の言葉だ。彼は、10回の打席で3回ヒットを打てば一流と言われている野球界で、失敗した7回を分析し続けてきた。かつて、世界中にそんな選手は一人もいなかった。

 低迷を続けていたマーリンズが昨年のイチローの加入以来、躍進劇を演じている。20代の主力選手たちが、20歳も先輩のレジェンドの言動に心酔し、尊敬していることが、大記録を達成した直後に、彼が立ち尽くす3塁ベースに集まって祝福した場面に表れている。プレー中なのに、次々と行われる男同士の抱擁を許すのは大リーグの懐の深さだと思いたい。