たなばたの雨

 ついさっき7時45分までナナと夕食後の涼みを家の前でしていた。ナナに「夕べはシャンプーをしてサラサラの気持ち良い毛になっていたのに、今日は早速川に入ったね。でも君は水が好きだから仕方ないよね。何度でもシャンプーしてやるよ」と言った。すでに首輪を外されて彼女は堰堤の15センチほどのコンクリートの塀にあごを乗せて気持ちよさそうに川を眺めていた。
 ぼちぼち風呂でもあてて入ろうと思い「ナナ、お家に入ろう」と誘って7時50分。風呂の用意をしたら母ちゃんが外に出て「ひこぼしとおりひめを見ようとしたが雨がこぼれてきた」と戻ってきた。わずか1.2分の間に雨がこぼれてきたのだ。
 年一回の牛飼いと機織娘の逢瀬は今年はだめみたい。でも彼らは既婚で、結婚後も仕事もせずに愛し合ったばかりに神の怒りに触れて「年一回よ」と縛られたようだ。この神様はちょっと酷ではないか。