ナナランドで過ごしたが

 いよいよ本格的な夏になってきた。ナナランドにキャンパーテントを立ててカメラ関連や名画の本を持ち込んで過ごした。持ち出した「世界名画の旅」には作品と、作者の背景がこと細かく書かれている。思えば25年ほど前の広島時代に買った本だ。
 いきなり巻頭に出たピカソの自画像は、その遺族が相続税代わりにフランス政府に納められた4千点近い作品のひとつだと書いている。プロの作品数はハンパじゃない。青く貧相な自画像は彼が二十歳になったばかりの作品で、有名な「青の時代」の前段に描かれている。
 ページをめくるとミレーの「種をまく人」が続く。広大な大地に力強く種を撒く農夫の姿は今はまったく見られないと、すでに25年前にフランス農業が機械化された実態が書かれている。
 何でこの本を買ったのかは分からないが、おそらく66ページにあるクラムスコイが描いた「忘れえぬ女」に魅せられてのことだったろう。今日、久しぶりに見て「モナリザ以上」の評価が高い“馬車から民衆を睥睨(へいげい)するような魅惑の女”が夢に出てくるだろうか。写真は今日は見せない。


【広島時代に買った本か、30年近く経っている】

【ミレーの「種を撒く人」だ】

【今日の収穫だ】