深層崩壊と表層崩壊

 いきなり難しいタイトルで面食らった人にはごめんなさい。今日の新聞紙面とテレビのニュースで紀伊半島の水害による被害で識者が盛んに使う言葉だった。
 表層崩壊とは山の斜面で地表の2メートルくらいまでの表層が降雨のためにズレ出す現象で、深層崩壊は、ずっと地面の底からの崩壊だ。
 (眠たい人はここで寝たほうがいい)
 そもそも紀伊半島の成り立ちは今から5億年くらい前の古生代から続くプレート活動の結果で、ハワイ辺りの深海にあった海底火山が徐々に日本列島に移動して、大陸棚プレートに沈み込む時に剥ぎ取られた残骸の一部が半島を形成している。前にも紹介したが、標高1,000メートルの玉置山の頂上にある枕状溶岩は、海底火山が噴出した棒状の溶岩が寸断されて枕のようになったものだ。断面が円形の溶岩が、三つほど積み上がった状態の化石を見て、先人は“玉を置いたようだ”と言うことで、玉置山の信仰の始まりになったし、その神官にあたった人が玉置姓のルーツになったことは言うまでも無い。
【玉置神社】http://www.tamakijinja.or.jp/
 とにかく紀伊半島の地層は底からザクザクなのだ。それが明治22年の大水害を生み、このたびまた、多くの被害をもたらしたのだ。