春肥を撒く

 まだたくさんの花が残る露あかねだが、杏子の花も満開になって受粉作業を続けてくれているように思う。

 

 ポカポカの朝だったので鶏糞を施した。いつもの道端に積み上げたヤマギシでもらってきたタダのやつだが、実が大きくなるのを過去に実感している。

 

 9時から始めた作業は10時半に終わって、伸びていた髪が気になったので有田川町に散髪に出かけた。前回はじじいの9連発で1時間ほど待ったが、今日は2番目ですぐに座席に案内してくれた。

 

 「どれくらいに?」「耳に髪がかからないほどに」と、いつもの対話を交わして、若者は手際よく調髪と髭剃りを進めてくれた。

 

 それにつけても、この剃刀の当たりの心地よさ。研ぎ澄まされた刃が、皮膚をプルプルと揺らしながら髭を剃っていく。5か月ぶりの至福の時間だ。

 

 散髪から帰ったら12時を過ぎていた。母ちゃんは朝から町の施設に出す「お菓子作り」に出かけていて、お昼にも帰ってこなかった。