藪入り

 広辞苑で引くと「奉公人などが正月と盆の前後に、主人から休みをもらって実家に帰ること」とある。私は社長でもないし、妻は奉公人でもないのだが、盆正月に苦労している長男の嫁を慰労するための思いやりだったのだろう。江戸時代以前にも、こんなやさしい心遣いができていたことはすばらしい。

 今年も厚かましくも妻にお供して、遠慮なくごちそうを頂いた。主にみかんとビワで生計を営んできた家だが、昨今の獣害による影響で離農する家が増えている中でギリギリ頑張っている。

 サラリーマン上がりの兄さんと話を交わしたが、彼は12月の収穫期早々に、みかんの木が折れて谷に転落してあわや救急車の世話になるところだったらしい。この仁義の谷に連日、救急車のサイレンが響いている最中のことだったということだ。