町花を育てる

 わが広川町を象徴する花は「ササユリ」。私が子供のころは、山の中にあった田んぼの周りは梅雨時にはササユリであふれていた。

 ところがいつの間にか、しとやかで清楚なその姿を見ることはほとんどできなくなってしまった。原因は不明だが、おそらくイノシシの食害によるものだろう。

 

 寄合会では、商材としてササユリの苗を育てているが、半端な取り組みではない。まず、かろうじて地元に残っている花から種を採取し、プランタに撒いて1年後に出た一枚葉の苗を拾い上げて小さなポットに植え替える。

 

 こうして育成場に置かれた苗は、6年~7年経ってやっと花をつける。もちろん、それまでの間で販売もしているが、夢は昔のような山の景色を取り戻すことだ。

 

 ただ、日高川町上富田町でも繁殖の取り組みをしているが、毎年追加を繰り返しても、年々減少の傾向にある。なんやろなあ?山が里山から植林になって「私らの時代は終わったのね」と花たちが思っているのかもしれない。