厚真のお米

 普段と言うのは「同じ状態がいつまでも続くこと」とウイキにある。同じことが続くことは生活の安定を示すが、この一か月の地異転変は普段の生活を根底から覆した。

 台風と地震。環太平洋地震帯にあって、地球のプレート活動のほぼ主役にある列島は、これまでも、これからも主役の座を奪われまい。

 北海道の厚真町で、主のいなくなった稲が刈り時を迎えているという。この稲を刈り取ってもらいたいという要望がSNSに載っている。

 かつて、親父が育てたみかんが収穫時を迎えたが、末期の病床でどうしようもなくなった時に似ている。あの時は、損得勘定を抜きにして、兄弟家族みんなが遠路を駆けつけて夕闇迫る果樹園を車のヘッドライトで照らしながら収穫した。

 みかんの値段はなんぼにもならなかったが、みんなの想いは格段の価値があったと思う。かれこれ20年前の出来事だけど。