君の名は。

 デイケアのばあちゃんを送り出した後、ジストシネマ御坊で大ヒット中の映画を見た。夢みたいなストーリーで、主人公の二人が結局どうなったのかよくわからなかったが、とにかくアニメの作画と音楽がよかった。

 アテンザがほぼ新車の時から陣取っていたナナの定位置に、今は母ちゃんが座っている。ファブリーズを振りまいて、冬風にさらし、消臭剤をいくつも仕組んでいても「まだ匂う」と戌年生まれの妻が言う。

 12年分の匂いは、思い出と同じでそう簡単には消せないようだ。でも、老齢期に入って動きの悪くなったナナとの付き合いに、自分自身、少し疲れていたのかも知れない。