バンクーバーの朝日を見た

 ◇2002年5月15日、カナダ・トロント。地元ブルージェイズシアトル・マリナーズを迎え撃つ一戦で始球式が行われた。イチローや佐々木、長谷川が見守る中、マウンドに現れたのは東洋人と思われる5人の老人。彼らがボールを放つと観客は一斉に湧き、球場はスタンディングオベーションに包まれた。◇
 映画「バンクーバーの朝日」のチラシの序文だ。19世紀末から戦前にかけて一攫千金を夢見てアメリカ大陸に渡った移民の二世たちによる野球チームの物語だ。差別と排斥の中で、相手投手のとんでもないボールを「ストライク」と言われたりするが、フェアプレーで頑張る彼らの姿にやがてカナダ人たちの中にもファンを作っていく。
 ナナを車に残して母ちゃんと二人で見た。ジストシネマ御坊の3号館の観客は我々を含めて7人くらいだった。