キノコの季節

 日本には約1500種のキノコがあって、そのうち食べられるのは300種で、市販されているのは20種ほどらしい。毒キノコと分かっているのは約30種で、残りの約1200種は食用か否かは不明と言うことだ。

 北海道にいる頃に、会社に出入りする業者の一人に誘われて、彼の友達含め4人で原生林にキノコ狩りに行ったことがある。彼は国有林の管理を任されていて、一般人が入れない森林のカギを持っていた。

 進入路に張られた金属のチェーンを外して、車で原野に侵入すると、今さっきいただろうと思われる熊のフンに遭遇することもあった。

 人が入ることがないのだから、とにかく「キノコの図鑑」に出てくるような群生が嘘のように目の前に現れたので夢中でシャッターを切った。

 まぼろしのキノコと言われているマイタケを私が発見した時は「そう簡単に見つけてくれるなよ」と憤慨の声もあった。谷川には100年以上前に開拓の人が切り倒した大木が埋もれていて、そこに、なめたけがびっくりするような大きな傘を開いているのも見た。

 そして収穫したキノコを、画家をしていた一人が料理をしてくれて、男ばかり4人で日本酒のつまみとしておいしく頂いた。彼には、キノコ図鑑一冊が頭に収められているほどのきのこ知識があった。もちろん絵の方も写実派のプロだった。

 面白かったのは、食毒不明の1200種のうちのキノコを何種類か採ってきて「今日はコレ行ってみましょうか」と試食することだった。そのうちのひとつチャワンタケと言うキノコは、オレンジの小さな茶碗の形をしているきのこで、プラスチックのようで味がなかった。こんなもの、あえて食う必要はないよなあと思ったが、人類の発展のためには必要だったのかな?