なれずし

 母ちゃんは紀州名物なれずしづくりに取り組んだ。昔から祭りには欠かせない伝統料理だが今では作る家も量もずいぶん減っている。1週間ほどで馴れておいしくなるが、出来栄えは気候条件で毎年変わる。昔はこれに酢漬けにしたしょうがを出して客人をもてなしたのだが、訪れる客人も”祭り日”の風情もなくなった。
 会社OBの湯浅に住むM氏が72歳で亡くなったので告別式にお参りした。私が電車通勤していた時に車を置かせてもらったので、家にも何回もお邪魔した。ところが最近は全く会っていなかったのでご遺影に当時の面影が薄かった。でも奥様がオークワのレジでアルバイトしていたことがあって都度挨拶を交わしていた。その奥様が焼香台の前に立たれていたので目でお悔やみを申し上げた。
 台風が近づいているが、これといった台風対策はしていない。せいぜい、ウッドデッキの椅子とパラソルを片付けた程度だ。影響かどうか西の空がきれいに染まっていた。