公衆電話

 家の前に緑色の公衆電話がある。親父の名義で、毎月NTTから手数料の支払い通知が届くが、ほとんど利用されていない。

 ここ3か月でも、1月に80円のコイン利用があっただけで、その後の2か月はゼロだった。

 そこで、廃止の電話番号に相談したら「少しお時間を頂きたい」という男性の回答だった。数時間後に家電にかかってきた返信は「確かに利用者は少ないがここ1年間ではゼロではなく、この地域にはお宅以外に設置がないので、もうしばらく様子を見てほしい」ということだった。

 通話料収入を上回る手数料(月額275円)を払ってでも、撤去しないのは、公共通信の姿勢か。そこんところは理解して「いやいや、こちらは困ることはないのだが、万人が携帯電話を持つ時代に、もったいないのでは?と思っただけで、そうであれば、もう少し様子をみましょうか」と返して電話を切った。

 

 さて「もう少し」とは私の中で何年先のことだろうか。たまに、電話ボックスのなかの掃除をするが、蜘蛛の巣と、夜の光に飛び込んでくる虫の死骸で、受話器には触れたくない時もある。