タツノオトシゴ

 朝のニュースで池袋サンシャインにある水族館でタツノオトシゴが人気を博していると紹介されていた。「姿かたちが今年のえとの辰に似ているのでその名前が付きました」と女性キャスターがはしゃいでいたが「ちょっと待て、辰は架空の想像物だ。実在するタツノオトシゴが架空の生物のコピーでは申し訳ないではないか」とオジサンは思ったのだ。
 続きを見ていると、なんとこの魚(魚なんです)は受精卵をメスがオスの育児嚢という腹袋に放射して、二週間後にオスが産卵(これもへんだ。形ができているので産子のほうが実態に近い)するのだ。
 この夫婦(じゃないかも知れないが)が腰を付け合って受精卵を移すときの形がなんとハート型になっていたのだ。大自然のおおらかさにはいつも「はい、申し訳ございません」「承知しました」とうなだれるしかない。
 タツノオトシゴは世界で33種が確認されているという。国内では9種類らしい。なぜ、タツノオトシゴという名前が付いてしまったかについては、やはり神話が先にできてしまったからだ。水の神である龍のイメージがアニメ日本昔話の初めに「ぼうやーよいこだねんねしなー」という音楽をバックに龍に乗った子供が天を駆け巡る。日本の画家も昔から龍の絵は随分と描いていて日本人にイメージを植えつけた。
 生物学などと言う分野は、人類が精神的に豊かになり始めたずっとずっと後世に始まったものだということだろうなあ。詳しいことは「さかなくん」に聞いてみよう。