雨の中で

 薬草指導の先生が来る日だった。今回は、キハダの種を持ってきてくれて、その果肉を外して種をとる作業をした。キハダは、奈良県天川村大峰山登山口にある薬草「陀羅尼助」の主原料だ。しかし、この樹皮を取るためには15年から20年かかる強者だ。

 4名で細々と「薬草苗」の販売を手掛けている身としては、この種を植えて収入にするには、あまりにも壮大でやっかいな物語だ。すったもんだの末に「とりあえず蒔くだけ蒔こう」ということになり、その作業は後日に譲った。

 私の定年後の構想としては、今時は国内や世界中を二人で飛び回っているはずなのだが、行政の取り組む町おこしに、いつの間にか絡んでしまって、5年前に取得したパスポートもすでに半分が過ぎてしまった。