海賊と呼ばれた男

 出光石油の創業者、出光佐三のドキュメントである。数年前に百田尚樹の原作を読んでいたので、映画化されると聞いて待ち望んでいた。そして封切りの今日、二人で御坊のジストシネマで初回放映を見た。150人ほど入る館内に、観客はたったの5人、こんなものなのか。

 和歌山には東燃と丸善の2社の石油会社があったので、そのOB、OGたちが興味を持って、和歌山市のジストシネマに殺到したと思われるが実態は分からない。

 日本が太平洋戦争に紛れるようになった原因は「石油が欲しかった」からだ。その前後が丁寧に再現されていた。主役の国岡鉄蔵が満鉄に軸受油を売り込みに行ったあたりは、丸善石油の和田完二に通づるものがあった。

 それにつけても岡田准一という男はすごい。V6というジャニーズ系のアイドルであり、出身地のひらパー兄さんであるが、20代から90代までを一人で演じ分けていた。60代で登場したオープニングの声にまず驚いた。

 入社した会社がなくなって、社名が変わって定年まで勤め、6年がたった今、日本の石油産業が華やかだった時を振り返って、ノスタルジーを感じざるを得ない。