アナグマ騒動は一段落

 実は、一昨日に仕掛けていたシメにアナグマがかかっていた。朝いちばんに見に行くと茶色い動物が、ワナから抜け出そうと必死でもがいていた。

 しかけたステンレスの針金は、しっかり腹回りにくいついていて、前後左右に動いても自由にはならず、針金の長さの範囲でそこらじゅうを掘り起こして命乞いをしていた。

 これは、このまま兵糧攻めにして死ぬまで放っておこうと考えたが、今日で三日目、とてもじゃないが、丸々と太ったアナグマはエサと水が取れなくても一向にくたばらない。

 最低でも10日、下手したら30日も生きるんではないかと思い、母ちゃんに協力をあおって、放免作戦に切り替えた。

 作戦を開始したら、彼(彼女かもしれない)はやおら立ち上がって威嚇した。そこに、捕獲かごを上から被せておいて、腹にかかっている「シメ」の針金を切ったら、飛び込んでき、同時に入口が閉まって大成功!

 その後に、やはり遠い遠い峠に解き放そうと連れて行ったが、軽トラから降ろして、扉を開けたが、一向に逃げようとしない。三日間の拘留が身に染みたのか、あるいは本来のバカなのか、後ろを振り返ることをしない。10分ほどたって我に返って「腹減ったな」と思ったのか、前にあるギンナンの実につられて踏み板を踏んで、再び自由の扉を自ら閉じてしまった。

 めんどくさい奴だな。仕方ないので、再び出口を開けたまま空中にぶら下げて振り落としてやったら、必死でしがみついている檻のネットから落ちて、そそくさと山に帰った。


【一応観念しているように見えるが】

【オリに入ったらうるさい】

【前の獲物とは明らかに顔が違う】

アナグマ騒動の夢のあと】