「海賊と呼ばれた男」上巻を読破

 同業者の尊い伝記なので親近感を覚えながら読み進んでいる。出光興産を起こした出光佐三のドキュメタリーだ。同じ時代に生きた丸善石油創始者、松村善蔵と前後しての苦難の物語だが、彼の実直な資質が国内外に受け入れられずに、常に孤立を味わった。
 しかし戦前戦後のどんな窮状にあっても従業員の首を切らず、出勤簿なし、組合なし、株式上場もせず今日まで至っている常識では考えられない会社だ。佐三は社員を”家族”として扱った。
 現役の頃はさほど気にはしていなかったが、今この伝記を読んで出光のファンになりつつある。国家やGHQを相手にひるまず日本の将来を熱く訴える姿にはおおいに共感する。こんなすごい人だったのかと始めて知った。「ほっと、もっと、きっと」のCMが心地よくなった。