団鬼六のこと

 19日(日)の読売新聞の追悼抄に今年亡くなった児玉清団鬼六(享年79歳)が載っていた。児玉清氏は36年間司会を務めた「パネルクイズアタック25」で有名だが、団鬼六(だん おにろく)氏を知っている人は数少ないと思う。
 実は私も官能小説の「花と蛇」を書いた人くらいの知識しかなかった。かつては神奈川県内の中学校の英語教師をしていたという経歴もある。単調な暮らしに嫌気が差して面白半分に書いた「花と蛇」がSM雑誌でもてはやされたのがエロ小説に走るきっかけだったという。しかし30年からの付き合いのある幻冬舎のK社長は「高度成長期に必死で働く国民を表で応援したのが司馬遼太郎だとすれば、裏で支えたのは団鬼六だ」と評価が高い。
 彼の座右の銘室町時代の歌謡集の一節「一期は夢よ、ただ狂え」だった。「この世は夢のようなもの、遊ばな損、狂わな損」が口癖だったと言う。おおいに共感するところだ。