米作りの将来は

 ツバメが飛び交い百姓たちの籾撒きの時季が近づいてきた。昔は水を張った田んぼの一部を苗代として直接種籾を撒いて、早苗に育ったら根っこを引き抜いて片手でもてるほどの束にして植える田に天秤棒で担いで運んだ。そして親戚同士が総出で協力しあって田植えをしたものだ。懐かしいが不効率でしんどかった思い出でしかない。
 今は苗マットに薄く敷いた土の上に籾を撒いて苗を育て、そして田植え機で植える。まるで自分でやっているように聞こえるが、すべて他人に作ってもらって田んぼを維持しているのが現状だ。彼らに何事かあってできなくなれば考えなければならないが、今のところはまったく米を作る気はない。親父が残したトラクターと田植え機は動くように管理しているが、毎日の水の世話に加えて実った稲を刈り取るコンバインが200万円も300万円もすることと、年間に自家消費する米代とを比べたら米は買うに超したことはない。