71歳最後の夜に

 家の周りの道路工事が進んでいる。完成すれば見違える道路になるだろう。反面、秋の夜の風物詩の虫の声がまったく聞こえなくなった。

 

 この時季には、鈴虫、マツムシ、キリギリス、クツワムシなどの鳴き声が聞こえていた。家の中ではコオロギの鳴き声もあったが、今は森閑としている。

 

 これが時の流れなのか。前を流れる広川には、かつてアユが飛び跳ね、ウナギやナマズ、手長エビにギギウ、カネタタキなどの魚類がいたが、ほとんど見られなくなった。

 

 20年ほど前までは「広川を愛する会」で寄付を集めて、水田用や飲料水のための湯堰で上がれないアユをタマで受けてタンクに集めて上流まで運んで放流していたが、会長が昨年亡くなって止まってしまった。

 

 広川は面白くない川になり果てた。せめて魚道を整備して「愛される広川」を取り戻してほしいのだが、この自然の後退に県や町の行政はどこまで気が付いているのか。いや気にも留めていないのだろうなあ。