いい風呂だった

 今日11月26日は「いいふろの日」らしい。今、その風呂から上がって書いている。5年前に新調した電気式のユニットバスだが、その後、快適に使わせてもらっている。

 昔から日本人が大好きなお風呂について少し追憶してみよう。子供の頃、風呂の準備は子供の日課だった。そもそも、燃料が今のように電気やガスではないので、すべて自前で調達する必要があった。

 小学生の夏休みや冬休みに、どこかの山で杉やヒノキの植林のために伐採された広葉樹の枯れ枝を拾い集め、毎日2束ほどのシバにして背中に負ぶって帰ってきた。そう、二宮金次郎銅像が背負っているあれだ。

 そして、夕方になると、五右衛門ぶろに手漕ぎポンプで100回ほど漕いで水をあて、シバを焚いて湯を沸かした。はじめちょろちょろ、だんだん太い枝をくべて1時間ほどで沸いただろうか。

 そして、5ワットくらいの電球がついたうすぐらい風呂に、ゲス板を踏み込んで五右衛門ぶろに蹲踞(そんきょ)の姿勢で浸かるのだった。思い出すだけでも、あーいやだ。

 あれから60年。ゆったりとした湯船に足を延ばして「フェーッ!」と歓喜の声をあげて、今日も幸せを噛みしめたのだった。